『お料理小説』両親を探しもとめて津々浦々。原宏一【佳代のキッチン】

お料理小説

小説のジャンルのなかで、
三本の指に数えるほど
お料理小説が好きなつぶお(@tsubuo_book)です!

空腹時に読むと地獄のような感じはしますが、
三大欲求の食欲をかきたてられる“お料理小説”っていいですよね?w

今回シェアする、
原宏一さんの【佳代のキッチン】
そんなお料理小説のひとつ。

主人公の佳代が、
“調理屋”をしながら、
突然姿を消してしまった両親を
探し求めて全国を旅する物語。

人気のシリーズ作品というだけあって、
最高においしそうな料理がたくさん登場します。
苦しみを感じながらも奮闘する姿が描かれていて、
料理以外の部分でも十分楽しめた作品でした!

そんな【佳代のキッチン】の感想レビュー記事、
良かったら見ていってください!

こんなひとにオススメ

  • 料理小説が好きなひと
  • 旅をするときは、地元のひととの触れ合いも大事にしたいひと
  • 定番料理だけじゃなくて、一風変わった料理も興味があるひと

あらすじ

佳代は、移動調理車で全国を巡りながら“調理屋”の仕事をしている。それは、突然姿を消してしまった両親の行方を探すため。手がかりは少なくてへこたれそうになっても、お客さんの喜ぶ姿に元気をもらっている。東京からスタートして、横須賀、松江、盛岡、函館、全国に車を走らせる。はたして、最後にたどり着くのはどこなのか?

調理屋とは

この小説のキーとなる“調理屋”という仕事。

それは一体何か?
調理屋をすごくシンプルにいうと、
“佳代のもとに食材さえ持って行けば、どんな料理も作ってくれる”

というもの。

それが『佳代のキッチン』の商売の方法。

普通のキッチンカーと違うのはその点です。
佳代のキッチンでは、オリジナルのメニューがないんです。
つまり、お客さんのオーダーに合わせて調理をする。

しかも、

“いかようにも調理します”という看板を掲げちゃうぐらいに料理の腕がある!

そんな佳代のキッチンでどんな料理がくり出されるのか。
次の項目で書いていきたいと思います。

登場する料理

佳代のキッチンによく注文が入るのはこの三パターン。

  • おふくろの味系
    (肉じゃが、筑前煮、白和えなど)
  • 家で作ると大変系
    (揚げ物、焼き魚、グラタンなど)
  • 処理に困る食材系
    (釣ってきた魚、おすそ分けされた野菜、お歳暮の新巻鮭など)

この三パターンの料理ももちろん出てきますが、
物語のメインに絡んでくるのは別の料理たち。

それはどれも、ぼくにとっては独特な料理ばかりでした!

まずは、
どのオリジナリティーあふれる料理の名前からご紹介。

佳代のキッチン
  • キャベツだけロール
  • ふわたま
  • 特製親子丼
  • ミートボールのトマト煮
  • スシテン
  • ラスタ
  • 魚介めし

これだけだと、
全然イメージつかない料理の方が多いですよね?
早速中身の紹介をしていきます!

キャベツのみロール

ロールキャベツの全部キャベツ版!

一般的なロールキャベツは、
中にお肉のアンが入っていますが、
これはその名前の通り中身もキャベツONLY!w

「えっ?!絶対味ないやん。」

って心配になっちゃいそうですが、
昆布のだしの旨味がしみこんだ、
やさしい味がしそうな一品でした!

隠し味に柚子胡椒を加えるのがポイント!
※子供用にはカレー風味のverを佳代は作ってました。

食材はキャベツのみ。
それだけでもおいしそうに感じちゃうのは不思議……。

ふわたま

これは、卵料理のひとつ
表面はカリッと香ばしく焼いて、
中はフワッと優しくなるようにする。

《味付け》
米粉、塩コショウ、マデラ酒、蜂蜜。
※隠し味に醤油を加える!

《作り方》
白身:メレンゲ状に泡立てる
黄身:調味料で味付ける
そして、これを混ぜ合わせてフワッと感を残したまま焼き上げる!

ひと手間かけた卵料理。
ふわふわ感がたまらなくおいしそうでした(汗)

特製親子丼

普通の親子丼とは違う、一風変わった料理でした。

これは、
横須賀で出会った、
駐留部隊に所属している米軍人のジェイクの思い出の料理。

食材は、
・フライドチキン
・フレンチフライ(フライドポテト)
・パルミジャーノチーズ

材料だけでもすごくジャンキーな香りが漂ってきますよねw

《作り方》

  1. 骨から身をきれいにとったチキンとポテトを一口大に切る
  2. ステーキ用のテリヤキソースをブイヨンで薄める
  3. そこに、チキンとポテトを入れてしばらく煮る
  4. 卵をいれてとじる
  5. 最後にチーズを加えて丼に盛って完成!

フライドチキンと卵も入ってるから、
親子丼と言えば親子丼……

これは、おいしいのかな?

ミートボールのトマト煮

よくありそうな料理ですが、
佳代のオリジナル要素が加えられた一品です!

そのオリジナル要素とは、

ミンチのつなぎには、パン粉じゃなくて
ゆでたクスクスと砕いたお麩を入れる!

もっちりとした食感に変わるみたい!
これは試してみたいw

スシテン

これはなんとビックリ、
握り寿司をそのまま天ぷらにしたもの!

作るときのポイントは、
閉店間際の売れ残りのもの、
食べきれずに一晩冷蔵庫で残ってたもの、

ちょっとシャリが固くなってしまったものの方がベターみたい

新鮮な握り寿司はそのまま食べた方がおいしい。
そして、固くなってしまった寿司の方が崩れにくくていいらしいです。
冷えたシャリも、さっと揚げることで口の中でいい具合にふんわりと感じるみたいw

売れ残りのものだったら、
割引されてておいしく生まれ変わるなんて、
めっちゃハッピーになる料理ですよね?

ラスタ

中華麺(ラーメン)とラタトゥイユを融合させたパスタということでラスタ。

ラタトゥイユはフランス料理のひとつで、
ズッキーニ、茄子、トマト、パプリカなどの野菜を
ニンニク&オリーブオイルで炒めて煮込んだもの。

作り方のポイントは、
まずはそのラタトゥイユの煮汁を使うこと!
煮汁に茹でた中華麺を加えたら完成。
あとは好みでナンプラーで香りづけしたり、
バジルをのせたりしてもOK。
サワークリームを加えたら、酸味とのバランスもとれておいしくなるらしいです。

岩手県の盛岡名物の三大麺に加わるほどの、
画期的な麺づくりをしてるときに佳代がアドバイスした料理でした。
ちまみに盛岡の三大麺はこちら↓

盛岡三大麺
  • 冷麺《朝鮮半島の麺を改良》
  • じゃじゃ麺《中国の麺を改良》
  • わんこ蕎麦《日本の麺を改良》

これに加えて、
ラスタ専用の麺が完成する……?
完成するかどうかは、小説を読んでからのお楽しみに(笑)

魚介めし

炊き込みご飯の上に魚介類をふんだんにのせた一品。

函館の自由海市場のご飯屋さんで出会った料理。
やっぱり、魚市場での魚料理っておいしさが何倍にも感じられますよね?w

のせられた魚介類は、
白身魚、海老、イカ、ホタテなど。
ブイヤベースのように煮込まれていて香り豊か。
辛子みそと一緒に食べるのもGOOD!

おいしさの秘訣は、
ご飯をパンダリーフというハーブと一緒に炊くこと。

東南アジアの雰囲気もあっておいしそうでした!

両親探しの旅

おいしい料理小説の面は、
読んでいて気分が朗らかになります!

反面、
両親探しの部分はじっくり読むのを楽しめる。
ただ…料理で関わるひとたちも、
それぞれ複雑な事情を抱えてるひとばかりなので、
全体を通して軽い料理小説としてってわけではなかったですw

そんな、
楽しめる部分と真剣に読み込む部分両方あり、
甘辛ミックスな作品になっているので、
最後まで飽きることなく読むことができると思います!

第一弾の今作だと、
両親を巡る旅があったけど、
第二弾からさきの展開はどうなるのか……
この次を読むのも楽しみです!

おわりに

料理小説にハマってから、
ずーっと気になってた一冊でした。
やっと読めて、おもしろかったので大満足!

“料理の作り手は、食べ手の命を預かってる”

この一文も響きました。
レストランでバイトしてた時は、
いかにおいしく食べてもらうかっていうことは考えてたけど、
ここまでの思いで働いたことなかったと反省……。

それと同時に、
佳代の作り手としてのプライドが
すっごくカッコいいと思いました。

第二弾以降の感想も
読み次第アップしていきますので、
Twitterのフォローやこのブログの読者登録をお願いします!

つぶお
つぶお

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

この本を読んだひとはこちらもおすすめです。
旅屋おかえり(原田マハ)
ヒカルの卵(森沢明夫)
食堂かたつむり(小川糸)

コメント

タイトルとURLをコピーしました