読後感が「爽やか~」な気分になれる
お仕事小説に出会いました!
それは、
桂望美さんの【総選挙ホテル】
タイトルの通り、
あの某大所帯のアイドルみたく総選挙をするんです!
ただし、選ばれるのも選ぶのもホテルで働く従業員。
そんな突飛なアイデアを出したのは、
人間は研究対象としか見てない変人心理学者!
売り上げが落ちこむホテルは、
新しい風を巻き起こせるのか?
それとも……。
読めばきっと気分爽快!
仕事での悩みなんか吹っ飛びますw
元気が欲しいひとはぜひ。
ホテルを舞台にしたお仕事小説へようこそ!
こんなひとにオススメ
- 元気になれるお仕事小説を探してる
- 仕事のモチベーションが上がらず悩んでいる
- なにか新しいことに挑戦したい
おすすめポイント
すごくおもしろかったです!
物語のはじまり方・終わり方、
ホテルで総選挙を行うっていうテーマ、
読みやすい文体でスラスラ読めちゃうのも、
全部ひっくるめて大満足でした!
そのおもしろかったと感じたところや
おすすめポイントをもう少し具体的に紹介していきます!
- 登場人物が個性豊か
- 総選挙って奇想天外!
- アイデアの原点
- 実験結果!!
この四つをそれぞれ見ていきたいと思います!
登場人物が個性豊か
45年前にオープンしたフィデルホテルが舞台。
そのホテルは現在絶賛苦戦をしいられています。
その苦境を何とかしようとして行われるのが“総選挙”ですが、
まずは、キャラクター性抜群の従業員がたくさんいるので、
お客さんなどスタッフ以外の登場人物を含めて
そちらをまずご紹介していきます。
- 永野信夫・・・心やさしい支配人。趣味はバードウォッチング。
- 元山靖彦・・・新社長。社会心理学を長年研究していた。
- 黒田雅哉・・・企画部所属。後輩から慕われている。
- 中西基晴・・・調理担当。ホテルの「割烹あお富」で働く。
- 小室萌 ・・・フラワーショップあお花所属。
- 後藤史子・・・客室の清掃担当。外部からの派遣スタッフ。
- 吉成幸三・・・前社長。妻をがんで亡くし退任。
- 永野美枝子・・・信夫の妻。
- 今井房子・・・フィデルホテルの名物客。事情通。
- 橋本 ・・・40年前にこのホテルで挙式した未亡人。
- 柴田貴之・・・投資ファンド勤務。元山をひっぱて来た張本人。
- 雨宮容子・・・海外のシンクタンク研究員。
新社長の元山が
毎度突飛なアイデアをくり出しますが、
それでもめげないスタッフたち。
特に支配人の永野のことは
頼りない気もするけど、読んでて応援したくなっちゃいますw
優しすぎるが故の、
嫌われ役に徹せないのも
なんか人間臭くていいんですよね…。
選挙が始まって、
ますますスタッフ間の関係もギスギスしていきますが、
やさしい支配人、変人新社長、その他の個性豊かな従業員が
徐々に変わっていくのも見どころです!
総選挙って奇想天外!
それでは、
個性豊かなメンバーが変わるきっかけになった、
奇抜なアイデアの“総選挙”がどんなものか
そちらをみていきましょう!
- フィデルホテルで働くすべてのひとが立候補できる
- 立候補するには、社員もパートもバイトも立場は関係ない
- 立候補者は、自己PRを文章と映像で発表する
- 立候補は、いまの所属部署と別の部署で立候補することも可能
- 選挙期間が終了したら、従業員が投票する
- 投票する際は、それぞれの部署に、だれを配置するのか考慮する
- 投票する際は、立候補してる部署と違う部署に配置してもいい
- ただし、投票時には、なぜ選んだのか明記する
- 明記されていない場合は、再投票を行う
- この選挙の結果、全部署で人員20%減される予定
いわば、
従業員が同じ仲間の従業員をリストラする。
ちょっと酷とも思える施策でした。
この選挙の結果、
先ほど紹介したメンバーのなかにも、
部署異動することになったひともいます。
やりたいことがあってこのホテルに入ったのに、
全く違うところで働かなくちゃいけない。
そんな悩みを抱えるひとにこんなアドバイスがかけられます。
遣り甲斐とか自己表現とか、若い子はそういう難しいことを言うが、朝起きて、飯食べて、仕事して、寝るんだよ。それがすべてだ。それでいいんじゃないかと思うよ。そういう毎日の中に時たま笑ったり、旨いものがあったりしたら最高だ。
どうやったら自分らしく働けるか。
どうやったら最高の人生が歩けるか。
そんな大層なことじゃなくて、
もっと単純なことで人生を楽しめってことでしょうか?
総選挙があったからこそ気づけた人生の楽しむ秘訣。
元山さんナイス!(笑)
こんな奇想天外なテーマだから、
読んでても先が気になって止まらなくなっちゃうんです(◎_◎;)
この本をオススメしたくなるポイントのひとつです!
アイデアの原点
「ホテル全従業員で総選挙」という
この奇抜なアイデアの原点とは……。
新社長の元山はこう考えたからでした。
ホテルの従業員の質&接客態度は重要。
にもかかわらず、採用時の判断だったり、
採用後の教育の段階では、性格分析や訓練は実施されない。
長年の勘や慣習だよりになってるのはどうしてか?
性格やスキル適性があってないチグハグな環境でみんな働いてる。
それが現状のフィデルホテルの状態……。
リードすべき存在の人事課がひっぱることができないのなら、
スタッフ自ら考えさせよう!
という元山の企みでした。
たしかに、
やりたいこと、
向いてること、
そういうのって違ってたりしますよね?
そして、
意外と同僚の仕事ぶりって、
気になってみてたりしませんか?
「雑な仕事だな」
「スゴイ!こんなこと気づくんだ!」
「こっちの仕事の方が向いてそうなのに残念…」
それが、
総選挙するおかげでガッチリはまる!
中にはリストラされて悲しい思いをするひともいますが、画期的だなって思いました。
まぁフィクションだからうまくいったのかもですが(笑)
実験結果(ネタバレ有り)
社会心理学者の元山が考えた“総選挙”。
はたしてそのアイデアは功を奏したのか。
その実験の結果をこれから書いていきます!
ただし、ガッツリネタバレを含みます。
苦手なひとは、
ちょっと先の方までスクロールしてみてください。
それでは、
- 総選挙の結果どうなったのか?
- フィデルホテルはどうなっていくのか?
こちらを見ていきたいと思います!
まずは総選挙の結果スタッフはどうなったのか。
- 黒田雅哉:企画部→料飲部
- 中西基晴:調理担当→ベルボーイ
- 小室萌 :フラワーショップ→フロント係
- 後藤史子:客室清掃(派遣)→ウエディング部(契約社員)
この部署異動の結果は、
それぞれの適性にはピッタリでした!
アイデア出しよりもフードサービスに向いていた黒田、
顔と愛想がいい中西、
細やかな気配りができる小室、
おせっかい具合が最適だった後藤。
それぞれの長所が、
お客さんへのサービス向上につながりました。
未亡人の橋本さんへの連係プレーは見事でした。
- 40年前に泊まって挙式をあげた橋本さまが、
ドレスを眺めてるところに後藤が話しかける。 - チェックインまで後藤が案内する。
その際、泊まったり挙式のことを小室に伝達。 - 接客中に聞きだした情報をもとに、部屋のアレンジを考え、
後藤にアレンジを依頼、部屋までの案内を長引かせるように中西に伝達。 - 中西は、案内の間に仕入れた情報(40年前カクテルを旦那と飲んだ)を
料飲部の黒田に伝達。 - 黒田が仲間と相談して、当時のカクテルを作った。
そして、橋本さまにカクテルを届けた。
もう見事すぎて、
この部分だけ何度も読み返しちゃいましたw
この小説はフィクションだけど、
この部分はいちばんリアルな感じがして、
すごくワクワクしちゃったんです!
こういったことが日々、
みんなが泊まるホテルでも、
くり広げられてると思うと、
なんだかいいですよね~(笑)
こうやって、
フィデルホテルの従業員も、
自ら考え動く立派なホテルマン・ホテルウーマンに成長しました!
全体としては、
前年のホテルの口コミランキングでは50位内には入らなかったのが、
総選挙後は13位にランクイン!
これからのフィデルホテルはもっと良くなっていくのかもしれませんw
おわりに
読んだ後味がすごく爽快!
ドンヨリ&殺伐としていたスタッフの雰囲気も
徐々に良くなっていったのも楽しかったです!
やっぱり仕事には情熱も大事。
アツく、誰かを喜ばせたい一心で働く姿はかっこよかった。
たった一人の客のために全力であたる。その客に満足して貰えるようにベストを尽くす。それを積み重ねていく。
こんな志も必要ですよね?
ステキになったフィデルホテルに泊まってみたい!
そう思いましたw
最近働いててもモチベーションが上がらなくて悩んでるひとは、
こちらの小説はいかがでしょうか?

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
この本を読んだひとはこちらもおすすめです。
・青空のルーレット(辻内智貴)
・派遣社員あすみの家計簿(青木祐子)
・空飛ぶ広報室(有川浩)
コメント