「とにかく生きろ!」コロナ禍のこの時代だからこそ深く響く! 伊坂幸太郎【終末のフール】

ファンタジー小説

こんにちは!

読書大好き人間BOOKBOYこと、つぶお(@tsubuo_book)です。

今回紹介するのは、
伊坂幸太郎さんの【終末のフール】です。

ほんとヤバいです!

なにがヤバいのかと言うと、
「伊坂さんは予言者なの?!」って
なるぐらいにコロナ禍っぽい世界の情景が描かれているんです!

我先にと逃げ惑う人々、
周りを顧みずスーパーに駆けこむ人々、
なんだか見たことあるような気がする風景……。
そして、要所要所でグサッとくるような言葉もあって、特に「とにかく生きろ」っていうのには心が震えました(;・∀・)

ナツイチ2021にも選ばれている一冊なので、
夏休みに時間があるひとはこの機会にぜひ!

こんなひとにオススメ

  • リアルさを感じられるファンタジー小説が読みたい
  • コロナ禍で読むのにピッタリな作品を探してる

あらすじ

人類に残された時間はあと三年。それは、小惑星が衝突して地球が滅亡するまでのタイムリミット。当初は混乱が起き、各地で事件が頻発していたが、現在は小康状態になっている。物語の舞台は、仙台北部に建てられた「ヒルズタウン」。そこに暮らす住人がこれまでの過去、そしてこれからの未来を見つめる!

とにかく生きること

読んでビックリするのが、
この小説の“小惑星”を“コロナウィルス”に置きかえることができちゃうこと。
そしたら余計に臨場感が高まります!

世界中を巻き込む規模の厄災となり、
人類は混乱し事件もひっきりなしになる。
そして、政治でうまくコントロールすることもできず、
スーパーにも買い物客が殺到してしまう事態。

この小説のファンタジーな内容が、
すべてこの一年半ほどの現実世界とリンクしているように感じました。

こんなコロナ禍な時代だからこそ、
出てくることばや情景に心震わされるのかも...
前に読んだことがあるひとも読み返すチャンスです!

読んでいて脆すぎる人間の本質に気づかされました。
その瞬間に鳥肌が立っちゃうほど、世相が反映されてるようにも感じました。
鳥肌が立つほどの人間の本質とは、

他人を殺してでも生き延びようとする。自分だけでも助かりたいってな。醜く生きるわけだ、俺たちは

これって、なんか見覚えないですか?
スーパーで他のひとのことも考えずに、
トイレットペーパー、食料品、その他生活必需品を買い占める。
ありありとあの頃の情景が目に浮かびます。

でも、

この小説ではコロナではなく、
あくまでも小惑星の衝突。

自分たちがもし、
この状況に立たされたら、
落ちついてられるのかどうか……。
コロナ以上にパニックになるかもしれません。

  • 未来に絶望する
  • 周りのひとを疑う
  • 食べ物などを盗む

小説の登場人物のように感じちゃうかもしれないけど、
それだけで残された人生に満足できるのか…?

そう自問自答しているときに、
目に飛びこんできたのがこちら。

こんなご時世、大事なのは、常識とか法律じゃなくて、いかに愉快に生きるかだ。

そして、“とにかく、生きろ”ということば。

絶望して、自殺するひとも続出してしまう物語のなかでも、
未来をあきらめずに悩みながらも生きるひとたちに心が動かされました。

  • 妊娠したわが子を、たった三年でも産み、育てるかどうか
  • 憎しみの相手に、復讐という殺人に手を染めてしまっていいのかどうか
  • 残された人生で、もう一度恋をしてもいいのかどうか

他のひとたちは、
未来を放棄してしまってるから簡単に犯罪にも手を染めてしまうし、どうせ死ぬならいつ死んでも一緒だと自殺するひともいる。

そのなかで、判断や選択が正しいのかどうか考えるひとたち。

たとえ優柔不断であっても、
未来をあきらめずに、
『生きる』っていうことが大切だと、
そう気づかしてくれる一冊だと思います!

どのくらい生きるのか

ガムシャラに生きることも大事だけど、
毎日を有意義に生きることも欠かせないですよね?

ぐうたらに生活していても、
もしかしたら明日命を落としてしまうかもしれません。
後悔しないように、
一日一日を満足して終われるようにしていくのも重要なこと!

そう思ったきっかけがこちらの一節。

あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?

とてつもない破壊力がありました。

この小説のなかでは、
八年後に地球が滅亡するといわれて、
五年がたった世界が描かれています。
つまり、残された時間はあと三年。

でも、

それって本当に三年はある?

今日、突然事故に巻き込まれて死んじゃうことも、
明日、病気が発症して死んじゃうこともあるかもしれない。
→突如、そんな病気は発生しないだろうけど…w

残された命は平等のようで全く平等じゃない。

どのくらい生きるつもりの生き方なのか。
それを考えてるときに思い出しました。
この小説のいちばん最初に書かれていた一文があったのを。

Today is the first day of the rest of your life.
今日という日は残された日の最初の一日
ー―by Charles Dederich

どのくらい生きられるのかは神様でも分からないかもしれない。
でも、自分自身でどうやって生きたいのか、
どんな自分の姿で人生をまっとうしたいのか。
それは考えることができますよね?

この【終末のフール】は、
そうやって自分自身とも向き合える一冊なのかもしれません

おわりに

コロナ禍を体験しているぼくたちだからこそ、
すごく身にしみる一冊だと思います!

絶望するのにも、もう飽きた

読んでいて、
生きる大変さを痛感すると同時に、
このことばにすごく共感しましたw

以前読んだ、
伊坂幸太郎さんの【クジラアタマの王様】
コロナ禍を彷彿させる内容だったけど、
今回のはもっとガツーンときました!

これはオススメ!

読んで損はないと思いますw

つぶお
つぶお

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

この本を読んだひとはこちらもおすすめです。
クジラアタマの王様(伊坂幸太郎)
お台場アイランドベイビー(伊与原新)
東京カウガール(小路幸也)

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