本屋大賞、
エキナカ書店大賞、
日本おいしい小説大賞、
“本(小説)”に的をしぼった大賞はいろいろあるけれど、
やっぱり有名なのは芥川賞と直木賞ですよね?
その直木賞受賞作【何者】(2012年/下)
「さすがやな……」って読んで思いました。
- 物語のテーマや構成
- 心情描写の繊細さ
小説読み終わったその流れのまま、
佐藤健さん主演の映画版も観てみました!
……映画版も圧倒させられました(;・∀・)
この本を読むのにおすすめなひと
こんなひとにおすすめ
- 就活ってどんな感じなんだろって漠然と気になってるひと
- 大学生の淡くて切なくて、胸が締めつけられる小説を探してるひと
- 心の内をSNSでしかさらけ出すことができないでいるひと
あらすじ
部活を引退。就活に向けて動きだしたばかりの大学生・二宮拓人。同級生の光太郎や瑞月、理香、隆良らと就活の情報交換をするなかで関わっていく。だが、それもとりつくられた仮面をまとった表面的なもの。そして、アピール合戦がくり広げられるSNS、面接、エントリーシート。偽りの自分を演じることに疲れ、次第に疑問を抱いていく。本心が取り残されていくなかで、彼らの行く末はどうなってしまうのか。
就活×Twitter
リアルすぎる(-_-;)
人間だから「認められたい」「自慢したい」っていう気持ちがどこかにありますよね?
Twitterを使ってると、承認欲求がより強くなっちゃいます。
ありのままの自分をつぶやくよりも、
「こんなスゴイことしてるんだぜ!」
「こんな有名人と繋がってるんだよ!」
「今、こんなスゴイ稼いでいます!」
って言いたくなる。
その裏で、
自分より大きなことをつぶやいていくうちに、
本当の自分の心とは離れてしまっちゃう。
この本心と虚勢をはった自分。
就活のことと通じる部分があるんだな!
って読んでて気づかされました。
認めてもらえないことでより傷ついてしまい、
なにがダメなのか正解がわからないことに戸惑い、
そんな毎日を過ごしていくなかで自分を見失ってしまう。
まんま就活とSNSは一緒なんだと感じました。
そして、
読んでると若干感じる違和感の正体は、
日々Twitterなどに触れるときに実感する“闇”の部分を、
どこかこの小説で感じ取ってるからなんだと思います。
そこから目をそむけたくなる自分っていうのが、
読んでる最中に感じる違和感の正体のように思えます。
だから、
普段TwitterやSNSを日常的に使ってるひとほど、
この小説の内容に共感できるはずです。
響くことばがたくさん!
「ただのバイトのくせに『仕事行ってくる』って言ってみたり、あなたの努力が足りなくて実現しなかった企画を『なくなった』って言ってみたり」
っていう瑞月がいったことば。
あなたにも身に覚えがあったりすると思います。
「きのうに時間しか寝てないんだよ」っていうナゾの自慢などw
そういうグサッとくることばがいっぱい。
なんでグサッと胸につきささるのか。
それはやっぱり、自分自身そういったことばを発した経験があって、
その発言に対して後ろめたい気持ちがどこかしらあるからだと思います。
「痛くてカッコ悪くたってがんばるんだよ。カッコ悪い姿のままあがくんだよ。」
こんなことばたちに、
カッコ悪い自分たちは直視できなくなっちゃいます。
ド正論すぎて白々しいけど、
やっぱり目を背けても変わらない。
自分はどうなっていきたいのか。
どうしたら会社から認められて就職できるのか。
この小説をとおして、
就活だけじゃなくて、
人生との向きあい方についても考えさせられます。
映画版も最高
原作小説にいい印象を持つと、
自然と映画を観るときにハードルがあがってしまうもの……。
それで、
映画を観てみると、
残念だな、って感じることもしばしばありますよね?
でも、この【何者】の映画は最高でした!
→これで期待値を無駄にあげてしまったらすみません(-_-;)
最高って思ったところ、
原作とちょっと違う部分はこんなところ。
キャスティングがWonderful!
合間に出てくる演劇のシーンでワクワク感が倍増!
ちなみに、映画の配役はこちら。
- 二宮拓人:佐藤健
- 神谷光太郎:菅田将暉
- 田名部瑞月:有村架純
- 小早川理香:二階堂ふみ
- 宮本隆良:岡田将生
- サワ先輩:山田孝之
主演の佐藤健さんの表情は、
読んだときに想像していた拓人そのものだったし、
チャランポラそうだけど変なところで芯を持ってる光太郎も、
菅田将暉さんが抜群に相性良かったと思います!
あと、
原作では烏丸ギンジ(拓人のかつての同志で自身の舞台を運営している)の舞台にあまりスポットが当てられてなかった印象ですが、映画ではその舞台の公演のシーンが要所要所で登場します。
映画のワクワク感を盛り上げてくれてました!
とにかく、
原作を読んだひとも、
まだ映画しか観たことないってひとも、
両方とも楽しめる作品だと思います!
おわりに
就活生が主人公!ってことだから、
「あまり関係ないや……」
「理解できる部分ないよね?」
なんて思ってましたが、
いい意味で先入観を裏切ってくれました!
読む前の印象と、
読んだ後の気分は全然違いますw
就活生じゃなくても、
就活をしたことないひとでも、
人生っていう大きなくくりで言うと共感できることがたくさん!
それに、
Twitterなど現代社会で欠かせなくなっているSNS。
普段からSNSを使ってるひとは余計に共感できるはずです。
「さすが直木賞!」とは言いつつも、
「賞をとってるから読もう」ってならないかもですが、
一読の価値は充分にあると思います。

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
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